スクールカウンセラーをしていた時によくお話しさせていただいたことの一つに
子どもの認め方、叱り方があります。
「認め方」とはいわゆる褒め方です。
しかし褒めるというのは上からの目線のような気がして、私は「認める」という言い方をさせてもらっています。
今回は子どもを認める時や、叱る時のポイントをお話しします。
子どもを認めるときのポイント
子どもをじっくり観察していると、たくさんの認めるポイントがあります。
それは「当たり前の行動」です。
大人はできて当たり前と思っているので、見過ごしてしまいがちです。
例えば
- 朝起きる
- おはようと挨拶ができる
- 自分で歯を磨く
- いただきますが言える
- 朝ごはんを食べる
- 自分で準備できる
など朝起きてからの一部の行動をとってもこれだけの「当たり前」と思われる行動があります。
当たり前にできていることに目をむける
できていなことに目が行きがちなのが大人です。
しかし、子どもに限らず、人はできていないことよりもできていることの方がはるかに多いのです。
当たり前にできていることを当たり前と思わず、認めてあげることが大切です。
朝の忙しい時間が無理なら、帰ってきてからの少しゆっくりとした時間に子どもを観察してみてください。
当たり前にできていることが必ずあります。
例えば、「ただいま」と言える、など小さなことでも構いません。
ではどのように声をかければ良いのか、迷いますよね。
先ほどの行動を例にとってみます。
- 朝起きる・おはようが言える → 「おはよう。自分で起きれたね」
- 自分で歯を磨く →「自分で磨けたね。さっぱりしたね」
- いただきますが言える →「いただきますが聞けて作った甲斐があるよ」
- 朝ごはんを食べる →「残さず食べてくれて嬉しいな」
- 自分で準備できる →「自分の準備ができるってすごいことだよ」
- ただいまと言える → 「おかえり。今日も元気で何より!」
- 手を洗える → 「自分から洗えるなんて素晴らしい!」
認める言葉かけは必ずしも「偉いね」「すごいね」だけではありません。
行動をそのまま認めてあげることが大事なのです。
努力の過程に目をむける
子どもが絵が上手に描けても描けなくても「どこを一番工夫したの?」とか
「難しかったところは?」「一番うまく描けたと思うところは?」とか・・・。
「へえ〜。そんな工夫したんだね!すごいなあ」など
努力した過程や絵を描く過程を想像しながら一緒にたどってみるといいと思います。
親が気づかない工夫や考え方を教えられてドキッとすることもよくあります。
テストなどの点数も結果ではなく、努力した過程に目を向けてあげることが大事です。
例えば、100点を取ると「おっ!すごいねー」とおっしゃるかもしれません。
すると子どもは100点を取ることが目的になってしまいます。
そこで付け加えて欲しいのは
「この中で簡単だったところは?」「難しかったところは?」
「難しかったところを解けたコツは?」
など頑張った過程に注目してあげてください。

そして満点でなかった時も同じように聞いてあげながら
本人がその難しかった問題について解決できているのであれば、
「お!もうそこまで理解できているのね。すごいなー 頑張ったね!」とか、
「一つ学んだね!」など前向きになれるような声かけをしてあげてください。
努力の過程に目をむけることで子どもとの新たな会話も生まれ、知らなかった子どもの考え方に気づきます。
何より子どもが「自分を見てくれている」と喜び、自分は自分でいいんだ!と自己肯定感が育まれます。

叱る時のポイント
叱るとは怒鳴りつけることではありません。
静かに穏やかに叱ります。
また行為を叱るのであって「ダメなやつだ」など子ども自身をを否定してはいけません。
危険な行為などはその場ですぐにやめさせましょう。
「何かに怒っている気持ちはわかるけど、人を叩くのはやめてください」など。
ここで「何をやっているんだ!やめろ!お互いに謝れ」などの説教はしない方がいいです。
子どもの行動には必ず理由があります。
ですからその後、何に怒っていたのか、どういう気持ちだったのかを聞き、
危険な行為をして結果どうだったのか一緒に考えます。
さらに同じことを繰り返さないように別のやり方を一緒に考えます。
そして反省できたことをしっかり認め、その後もよく見てあげることが大事です。
多少なりとも反省できた子どもは行動が変化すると思います。
その良い変化を見逃さず、認める言葉がけをしてあげてください。
「我慢できてたね。どういう気持ちで我慢できたの?」など
大人の小さな積み重ねが子どもの大きな自信につながります。

まとめ
当たり前の行動をしている時こそが認めるチャンスです!
- どんな子どもにも認めるポイントがたくさんある
- 当たり前の行動に注目してみる
- 結果ではなく、努力の過程に目をむける
- 言葉にすることが大事
- 叱る時は静かに、穏やかに
- 叱った後の行動の変化にも注目する
以上、子どもを認めるとき、叱る時のポイントをまとめてみました。
スクールカウンセラーをしているとよくこのお話をさせていただきます。
「できて当たり前」ではなく、当たり前のことを当たり前にできるのが素晴らしいのです。
当たり前にできていることを認めていると、自分自身も穏やかな気持ちになり、
怒ることも減り、子育てが楽しくなります。
大人も子どももWinWin(ウィンウィン)なのです。
ぜひ試してみてくださいね!